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ガスバリア入門講座 基礎編1

包むということは、内と外とを区別することです。この区別は、湿気、光、力、空気といった外の要因に対して内のものを守るためであり、包むもの(包装材料)には必然的に外の要因を遮断して内のものを守り、品質低下を防ぐという働きが要求されます。
外部からの品質低下を招く要因を遮断する働きをバリア性といいます。空気中の酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気といった気体は食品や医薬品の鮮度保持や品質に大きな影響を及ぼしており、これらのバリア性は極めて重要です。従って、包装材料にもこれらの気体のバリア性が求められます。

図1-1 包装材料には外気を遮断し、内容物の品質低下を防ぐ働きがあります。

古くは瓶詰や缶詰という方法で内容物を外気から遮断、密閉することですることで、長期間にわたり保存できるようになりました。20世紀に入りプラスチックが発明されると、プラスチックが包装材料として用いられるようになりました。これに伴い、気体バリア性に優れたプラスチックが開発され、食品だけでなく化粧品、医薬品の包装材料として、私たちの暮らしを支えています。

図1-2 ポリエチレン(左)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(右)

図1-2 ポリエチレン(左)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(右)

図1-2は一般的なプラスチックであるポリエチレン(PE)とガスバリア性に優れたプラスチックであるエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)です。このふたつを見比べると、両者とも透明で外見はほとんど同じように見えます。しかし、EVOHの酸素バリア性はPEの1万倍以上も優れています。同じプラスチックなのになぜ酸素バリア性がこれほど異なるのでしょうか?このシリーズでは、この疑問に答えるためにバリア性の発現メカニズム等について簡単に説明していく予定です。 次回は、ガス透過量の大小を比較する上で必要なガスの透過量の表し方について述べます。

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