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ガスバリア入門講座 基礎編2

ガス透過量の表し方

図2-1 いろいろな場合の気体透過量
 ①:基準
 ②:左右の圧力差が大きい時
 ③:透過面積が大きい時
 ④:時間が長い時
 ⑤:フィルムが厚い時

図2-2 フィルム厚さと酸素透過度の関係

気体の透過量の多少はどのように表せばよいのでしょうか?

まず、思い浮かぶのは気体の量を表すものとして気体の体積があります。では、透過する気体の体積は圧力差やフィルムの面積,時間,フィルム厚とどのような関係があるのでしょうか。これらについて見ていくこと気体透過量の単位についての理解を深められます。

先ず、気体の圧力差について考えていきましょう。

フィルムを隔てて左右に部屋があり、単一の気体が入っていると考えます(図2-1①)。左側の圧力が高く右側の圧力が低いとします。この時、フィルムを隔てて左右の部屋には圧力差があります。左の部屋の気体の圧力が高いということは、気体分子の数が多いことに相当します。

図2-1の①と②を見比べてください。気体の分子数が多いと圧力差も大きくなり、透過する気体の量も多くなります。このことから、気体の透過量を表すには、同じ圧力で比較しなければならないことが解ります。即ち透過する気体量を圧力で割って単位圧力当たりの透過量にとする必要があります。尚、混合気体の場合は、各気体の分圧差を用います。

次に気体透過面積について考えましょう。

図2-1③のように①に比べてフィルムの面積が大きくなると当然透過量も多くなります。従って、単位面積当たりの透過量にする必要があります。

透過する気体の量は1日よりも2日、2日よりも3日の方が多くなることは明らかです(図2-1④)。従って、時間に関しても気体透過量を時間で割って、単位時間当たりの体積にする必要があります。

最後に、厚さに関しては図2-1⑤に示すようにフィルムが厚くなると、透過する気体の量は少なくなります。

図2-2はエチレン−ビニルアルコール共重合体の厚さと酸素透過係数の関係を示したものです。厚さが2倍になると透過する気体の量は1/2に、厚さが3倍になると透過量は1/3にと反比例の関係があります。従って、気体の透過量を比較する時には、厚さもそろえておく必要があります。

以上のことから、気体の透過量を表す量(気体透過係数)は、気体の圧力差や気体透過面積,時間,厚さを揃えておく必要があります。そのためには、透過量を気体の圧力差や気体透過面積,時間で割ってやればよいことになります。厚さに関しては反比例の関係があるので、厚さの項を乗じる必要があります。

従って気体透過係数は気体透過係数=気体透過量(体積)×フィルムの厚さ/(圧力差×透過面積×時間) になります。

一方、厚み換算を行わないものとして、気体透過度といわれるものがあります。気体透過度は 気体透過度=気体透過量(体積)/(圧力差×透過面積×時間) で表されます。

気体透過係数は材料固有の値であり、材料間のガスバリア性を比較する上で便利であるのに対し、気体透過度は試験片そのもののガスバリア性を比較する上で好都合です。

よく使われる気体透過係数の単位としてはcc 20μm/(m2・24hrs・atm)があります。これはフィルムの厚さを20μmに換算して、フィルム面積1m、圧力1 atm(=1気圧)のもとで、24時間(1日)当たりに透過する気体の量を表しています。

その他の気体透過係数の単位としては、cm3 cm/(m2・24hrs・atm)やcm3 cm/(cm2・s・cmHg)が使われています。

後者の単位ではsは1秒当たりを、cmHgは圧力を水銀柱の高さを基準にしていることを意味しています。海外ではin3 mil / (100in2・day・atm)の単位も使われています。inはインチを意味しており、1インチ=2.54cmです。milは千分の1インチのことです。

学術論文などではcm3(STP)cm/(cm2・s・Pa)やcm3(STP)cm/(cm2・ss・cmHg)が使われています。この中の(STP)は気体の体積は温度,圧力によって変わるために標準状態に換算したものであるという意味です。

標準状態とは絶対温度で273.15 K(ケルビン),圧力で1.01325×105 Pa(パスカル)すなわち、0℃,1気圧のことです。また、Paは圧力の単位ですが、馴染み無いという方もおられるかも知れません。しかし、ヘクトパスカル(1 hPa = 100 Pa)という語は天気予報でよく耳にする言葉ですので、圧力の単位としてはたいへん身近なものです。

気体透過係数はここで紹介した以外にも様々な単位が使われていますので、透過係数の単位の換算表を添付しておきます。1) 本シリーズでは気体透過係数の単位として、ポリマーハンドブックに準じてcm3(STP)cm/(cm2・s・Pa)の単位を使用していきます。

尚、酸素透過度のSI単位(世界共通の国際単位系)はfm/(s・Pa)があります1)。1fm/(s・Pa) = 8.752 cm3/(m2・24hrs・atm)です。 fmはフェムトメートルと読み、1fm = 10-15 mを表しています。

表2-1 気体透過係数単位の換算係数

次回は、気体透過の基礎についてご説明します。

参考文献
1) Polymer handbook 4th Edition,John Wiley & Sons,Inc. (1999)
2) ISO 14663-2:1999(Annex C)

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